3. 新規追加曲の全曲レビュー (4)

Special One / kors k feat. Suzuyo Minamoto

kors kが作ったとは思えない4つ打ちJ-POP.beatmania IIDXではそうそうないアーバンなJ-POPだけに,色々な意味で珍しい曲と言えるだろう.

spiral galaxy -L.E.D. STYLE SPREADING PARTICLE BEAM MIX- / Remixed by L.E.D.

オリジナルはD.J.SETUP.原曲のサイケデリック感を忠実に再現しつつ,L.E.D.のサイケデリック感も加えられたリミックス.ハードなアシッドサウンドが際立つ強烈な1曲となっている.

The Story Begins / SADA & Sota

L.E.D.を彷彿とさせるイントロを思わせるあたりは,あの2人が作った曲なのか? と思ってしまう.しかし,そこを過ぎればちゃんとエピック・トランスとなっているので一安心できる.終盤のエレクトロサウンドも,本体の邪魔をせずにちょっとした風味付けとして機能しているあたりは,SADAとSota Fujimoriの2人だからこそなせる技であろう.

Sunrise / good-cool ft. KOяO

前半はhide(ex. X JAPAN)を思わせるヴォーカルだが,サビ前で女性のヴォーカルで変わるあたりは,同一人物が歌っているのかが疑問に残る.全体的にはロックサウンドが主体となっているが,ビートをよく聴くとドラムンベースになっている.ロックとドラムンベースの融合って割とよくある話だが,ビートをよく聴かないと簡単にスルーされそうな音のバランスではある.

To the Future / seiya-murai

80年代のエレクトロサウンド,というべき1曲.ドラムの音がかっちりとしてないが,チープな感じになっていないあたりがいい方向にまとまっている.

with me... / Sota Fujimori feat. Kemy

To the Futureが80年代エレクトロサウンドなのに対し,with me...はゼロ年代エレクトロサウンドとはっきりした区分けができる.ゼロ年代エレクトロサウンドの担い手とも言えるSota Fujiimoriのトラックだが,それを確証できるサウンドに仕上がっている.

かずあそび / CULTVOICE by S.S.D.PRODUCTS

花吹雪と似た感じのテイスト.しかし,花吹雪とかずあそびには微妙に差がある.花吹雪では誘惑されそうな雰囲気があるが,かずあそびにはやんわりとした拒絶感がある.だが,2曲を聴き比べたときに共通する日本的なサウンドはどういったものか,ということを考えてみると面白いかもしれない.

コスモス / TSU-NA

どこかアイドルソング的要素が感じられる曲.単純に明るいかと思いきや,その中になんとなく影を感じられる,ある種の人間味を不意に感じ取れる1曲ではないかと思う.

サヨナラ・ヘヴン / 猫叉Master

東欧系のサウンドっぽいんだけど,なんとなく秋っぽいところを感じられる1曲.鳴っている音が乾いているからなのか,はわからないが,少なくとも音の情景では人の存在を感じられない気がする.

たからもの / セリカ&エリカ

底抜けに明るいロック曲.女性ツインボーカルというのもあるけれど,タシカナモノに通ずる雰囲気を感じられる.

バビロニア / 劇団レコード

サヨナラ・ヘヴンと関連性のありそうな1曲.どちらも乾いた音ゆえにある種の寂しさを感じるが,ピアノとクラシカルギターでサヨナラ・ヘヴンとは別の地で奏でられている,という感じがある.

フェティッシュペイパー -脇の汗回転ガール- / ガキ大将ティーム

DistressとかJackと同じ系統に入るであろう1曲.タイトルは日本語なのに,歌詞では日本語詞が出てこない珍しいトラックとなっている.とは言え,叫ぶようなラップをしているところは聴く価値があるだろう.

ワルツ第17番 ト短調"大犬のワルツ" / virkato

avant-guerreもそうだったけれど,ピアノのみで構成された珍しい楽曲.全体的に蠍火よりもテンポが早く,またコミカルな展開となっている.

水上の提督 (Short mix from "幻想水滸伝V") / 猫叉Master

曲全体から中国的な要素を感じられる1曲.時間の流れがゆったりと感じられ,山間の農村で時計を気にしない雰囲気を感じ取れるはずだ.

未来のプリズム / 星野奏子

どことなく音ゲーっぽさを感じないJ-POP.ダンスミュージックの文脈とは離れた,ポップスらしいポップスを聴いているような感じがある.

参考文献